将 棋 の 話
会長回想録
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五段半

 1月10日に船村徹さんに免状を差し上げました。東武宇都宮デパートで私が読み上げた。それがトップページの写真のものです。
 今は允許状(いんきょじょう)ですが、これだけは免許です。允許と免許の違いは浅学の私には分かりませんが、免状と呼んでおいてその実は允許なんですね。
 凡そ80年前に関根金次郎が阪田三吉に出したのが五段半の免状でした。この「半」の解釈を巡って口論となり、阪田三吉が「関根だけは許せない」と相成ったのです。
 今週1月16日の東京中日スポーツの私のコラム「セブンデイズ」に書きましたのでお読み下さい。買ってね。東京、名古屋周辺以外の方はちょっと入手が難しいかも。

 将棋界は打つべき手、やるべき事が多すぎます。囲碁将棋チャンネルは10億円以上の買収劇でした。入札した事実はやはり大きなことでした。これからはケーブルテレビを軸にして、ファンサービスに努めるのを急ピッチで進めています。そのためのチーム作りを編成中です。

 将棋という文化がどのような形で社会貢献出来るかが大きなポイントです。道場支援、学校教育をはじめ数々の具体例を打ち出して実行してゆく。ひとつひとつが楽しみです。
 プロ棋士も職員も現状認識、危機感の共有がなされてきたことは大きいです。

採用

 百年に一度の大不況下で将棋界も厳しいです。こんな時は二通りです。辛抱してじっとしている。それとも積極的に打って出る。倹約に次ぐ倹約。あるいは財政出動。要は攻めるか守るかですが、たいていはじっとしている方が良い事が多いようです。
 大山語録「米長さん、受けと守りというのは違うんですよ」。大先生の将棋は守りであって、それも強守とか。反転を捉えるための守り、強守ということらしい。

 日本将棋連盟は3人を採用決定しました。4月1日付です。最も多い時は職員が57名でした。今は40名くらいです。「くらい」という表現は曖昧ですが、その他に契約社員、アルバイト、顧問などがいます。スペシャリストという正職員と契約の中間のような立場の人もいて、「くらい」なのです。
 職員の数は減り続けていましたが、今年は一転して3人採用です。仕事が増えたからではありません。「仕事の量が多い」「忙しい」等と言う人がいますが、米長流の経営はそんな時にはその部署の人を減らします。人を増やすのではなく、無駄な仕事を減らせという意味です。これを増員するとそのまま仕事をこなしてしまうことになる。人を減らすと観念します。過労で倒れるか、それとも無駄を省くかのどちらかを採ることになりますが、たいていは後者を採ることになるのです。

 166名が応募。書類に目を通し、最終的には理事が決めます。合議して20名を残しました。東西に分けて10名ずつ筆記試験と面接です。面接官は東西とも理事の他に女性職員がいるのです。
 全てが終ってから面接官が一斉に採点を表に出して合議。全員が合格という者もいる。中には米長会長がトップなのに×印をつけられた人もいます。採点は順位を上位からつけてゆき、どうしても駄目という者には×印をつけることにしたのです。
 東も西も面接官の委員長は私です。会長が決めればそれで良いのですが、やっぱり×印は氣になります。どこが氣に入らないのかを聞く。面接はその人物に住所、氏名をきちんと聞いてから始まります。私の質問は他愛も無いものばかりで「酒飲んで歌を唄うのか」「何回振られたか」等です。そのやりとりの最中に、姿勢、声の感じ、表情、語り口などで判断です。
 順位の差はあっても大体一致しやすいです。中にはホームランか三振かというのがいる。私がトップにした人間ですけどね。欠点としてはアクが強い、クセがある。とにかく、いわゆる「濃い」んです。会長一任と皆言ってくれましたが、私が別の人にしました。但し、採用時の最高責任は会長の私にあります。

 採用された人も落ちた人も、それぞれその人の人生がかかっています。生涯賃金などで考えますと、3億円の買い物3件ということになります。採用者をそのように表現しては申し訳ないが、採用というものはそのくらいの大きな賭けでもあります。
 私の決め手はその人物の運にあります。運が良い人とは仲良くする。運の悪い人とは敬して遠ざけるかケンカする。敬遠するのですね。
 面接した人はそれぞれ運の良さそうな人が多かったのですが、3人に決定したのは私の主観プラス全員の評価によるものです。不況下だからこそ採用しましたが、余力があればもっと人数を増やしたいところでした。

ログイン

 王将戦が始まりました。羽生王将に久保棋王が挑戦して第一局を制しました。女流名人位戦は清水名人に里見倉敷藤花が挑戦。この五番勝負はどちらにも勝ってもらいたい。棋王戦も始まる。久保棋王には佐藤康光が挑戦。これも見逃せない。
 朝日オープンは2月13日に東京・有楽町マリオンにて準決勝2局、決勝が行われます。羽生善治VS谷川浩司、もう一方は久保棋王VS佐藤和俊。
 えっ?佐藤和俊って誰?などという人はド素人。彼は四段になってからは153勝79敗(2009.12.31現在)で2勝1敗ペースの勝率。昨年も朝日オープンは準決勝に進出したので、この棋戦はついている相性の良い棋戦かも。

 その全てをネット中継します。名人戦を除く全ての棋戦は日本将棋連盟が協力あるいは運営します。どうぞそれぞれの中継を楽しんで下さい。ネット中継といえば「大和証券杯最強戦」こそがご本尊です。なにしろ本邦初のネット棋戦なのです。毎週日曜日午後8時からです。その時間を外しても後日楽しむことが出来るのは勿論です。
 無料です。対局室には現在950名まで。しかし殆ど同時に楽しめる観戦室もあります。将棋倶楽部24で楽しむよりはログインする時に少々面倒な手順です。しかしパスワードとハンドル名は自由になんでも可ですから簡単簡単。
 さ、あなたもログインしてお楽しみ下さい。現在は女流棋士の本戦が煮詰まってきたところです。
 下記で登録して下さい。

http://www.daiwashogi.net/

女流王将戦

 将棋界にも春がやってきました。公益法人改革もネット委員会もプロ棋士達が手弁当でやってくれている。それに刺激されて若手からも「お手伝いしたい」と言ってくれる人が増えてきました。

 女流王将戦はいよいよ本格的スタートです。タイトル賞金額は二番目の高額になるかもしれません。囲碁将棋チャンネルと霧島酒造がスポンサーです。
 現在では社団法人日本将棋連盟所属の女流棋士は全員参加。他に招待枠があって10名前後になる予定。他のプロ団体や一人会派、それにアマチュアです。近頃はアマチュアも強く、プロに伍して戦う人も多くいますし、それが中学生や小学生だったりもします。
 あと数年で女流棋界の勢力図もガラッと変るかもしれません。ともあれ女流棋士達には実力アップをするよう尻を叩いているところです。もっとも本当にそうしたらセクハラでしょうけどね。
 ケーブルテレビに加入して下さい。そして焼酎は霧島をよろしく。

熱い勝負

 タイトル戦が熱いです。王将戦は羽生に久保が挑戦。第一局が大塚国際美術館でした。ミケランジェロの「最後の審判」の原寸大の大画の脇というか中というか、大聖堂の中での対局という表現がピッタリです。
 久保が先勝しましたが、第二局で羽生が追いついて現在1勝1敗です。

 棋王戦は久保に佐藤康光が挑戦。佐藤は順位戦が振るわずA級から陥落しましたが、タイトルを獲って元を取りたいと思っていることでしょう。

 女流の方も熱い。清水女流名人に里見香奈が挑戦して目下2連勝中。あと1勝すると名人です。高校生名人が誕生するかどうか。

 ということで各クラスの順位戦やタイトル戦が将棋界の大ニュースかと言うとさにあらず。一番人氣が有吉さんで二番目が猫なんですね。有吉さんが2月2日の対局に負けてC2クラスから陥落。引退となったのです。現役生活55年。翌日のNHKでもニュースで流し、近日中に特集があるとかです。新聞にも大きく報道されていました。
 しかし極めつけは猫。去る1月21日に協議会が決裂したんですって。加藤一二三さんがノラ猫(地域ネコが正しい表現)に餌をやっているのが近所迷惑だと訴えられました。第一回目の裁判の様子がニュースに流れました。竜王戦を主催している読売新聞紙上でも将棋より大きな扱いだったのにはビックリしました。猫が竜に勝つなんて。第二回目は1月21日でした。これはトコトン行き着くところまで行きますね。

 将棋界には眠り猫もいます。北尾まどか女流です。フリーになったかと思ったら2月1日付で新会社を設立しました。会社名は「ねこまど」とか。将棋の普及活動のためということです。みなさん応援してやって下さい。