ま じ め な 私
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週刊文春・家の履歴書

 発売中の週刊文春に私が出ています。「新・家の履歴書」は数年続いている名物連載ものですが、7月22日発売の7月29日号です。86ページから4ページ割かれています。
 生い立ちから現在に至るまで、私が住んでいた家、建てた家、買った家が数々のエピソードと共に描かれています。

米長道場
 これが図解入りで載っています。将棋盤あり、バーベキューをやった庭あり、十数名のプロが将棋を指している姿が描かれています。編集者も一番印象に残った家だったんでしょうか。
 買ったといっても長い間の実際の持ち主は金を貸した銀行でしたけどね。金利が年8.9パーセントだったというのも忘れられません。
 あの頃は株や土地で誰でも儲かった時代です。私も将棋より株の方が才能があるのかと錯覚した程です。しかし金を得ることによって失われてしまうものもある。株の取引は止めようと思っても止められません。どうしても欲が先に立つからです。
 そこで考えたのは家を建て替え、一軒家を買い取ることでした。ローンを組む。金は全て無くなってローンのみ残りました。当然株はやりたくても金が無い。二冠王ならぬ二軒王になったのです。

 一軒家はプロ専用の道場にしました。この道場のおかげで私が得たタイトルは王将と名人です。しかし若い棋士や奨励会員と過ごした日々の時間こそが私の一番の財産かもしれません。
 米長道場の見取り図。是非お読み下さい。

新人研修(五)

 5回目の新人研修は普及がテーマでした。プロ棋士の団体として対局中心に時を刻んで来たことは確かです。
普及
 これは主として稽古です。会社というのもあれば将棋好きのダンナ様への個人というのもある。これは個人のお客様ですから団体の方がお節介を出したりは出来ません。トラブルの元になるからです。

 将棋大会の審判、指導。これなども支部長や大会運営の幹部とプロ棋士との個人的なつながり、縁などで人選が決まります。ですから普及部もうかつに口を出せない。うっかり違う人を選ぶと「俺の永年の仕事先をどうしてくれる」ということになるからです。
 普及部としてはプロ棋士の人選には出来ればノータッチでいたかったのです。

 しかし、昨今は全く新しいものが登場します。学校、地方自治体主催あるいは協賛。そして文化庁や伝統文化活性化国民協会の新事業。新聞社からの普及協力金。
 このようなものは組織としての全く新しい普及活動の組み立てをするよりありません。対局以外の利益は全額普及活動に廻しますから、これからのプロ棋士、女流棋士の果たす役割りは大きいです。
 当日のレポートは下記です。

「普及について」

 かつては、棋士の公務は対局がすべてであり、普及への関心は低かったが、ここ十年余りで、棋士の普及に対する意識は高くなってきた。棋士による指導や解説、更には学校訪問や文化庁との事業などが広がりを見せ、普及は厚みを増している。

 普及には、将棋を指す普及と、将棋を観る普及がある。指す普及では、子どもへの普及は非常に盛んで、親子連れでの将棋大会の参加申し込みが7歳を頂点に広がっている。また、対局者が創り出す感動やドラマ、つまり観る普及を新聞の将棋欄はもちろん、今後はインターネット、携帯サイト事業を通じて伝えていくのが、新たな課題である。7月5日には、携帯サイトがオープンするので、これらを中心に輪を広げたい。

 また、組織の一員である支部会員を大切にすることが、将棋文化にとっても、連盟にとっても大事である。公益法人改革では支部との関係も新たに進化することとなるが、上記の普及活動を支える一角としての支部と連盟のつながりを、これまで以上のものにすべく、努力する必要がある。


新人研修(四)

 将棋連盟会長の新人研修は月2回のペースで行っています。1回が1時間の講義。そのあとは質疑応答などをします。
 一人が取りまとめ、それを私のホームページに原文のまま掲載します。
 各人がメモを取っています。本当はそのメモを見せてもらい、私の意見と受け止め方のディスカッションをしてゆくのが良いと思いますが、今は全般をなぞる程度ですね。
 今回の文章は以下の通りです。

第4回新人研修
「電子メディア部の現状と将来」
[メディアと将棋の関係]
 メディアは将棋と密接な関係にあり、古くは江戸時代からで現在にまで至る。現在、そのメディアは新聞社やテレビなどの情報を提供する側の会社であり、将棋連盟と棋戦契約を結ぶとメディア側が契約金を払い、連盟側は純粋なプロの将棋を提供する。
 この流れは現在に至るまで変わらなく、これからも変わることはないだろう。

[電子メディア部の現状と未来]
 将棋連盟と新聞社の視点で見ると、近年活字媒体の不振もあり新聞社全体の業績の落ち込みが目立つ。それに伴い契約金が減少しており、収益を契約金に頼っている将棋連盟にとっては非常に危機的なものである。
 新聞社のこれからは教育界にかかっている。ひとつはNIEだ。しかし私が進言しても真剣に取り上げようとする社は少ないです。もうひとつは「授業で新聞を読む」ことが定められました。
 そこで、今の現状を打開するために他の収益源を作る必要があり、将棋連盟は収入源を活字と共に、ネットに活路を見出した。
 それがインターネットを用いた対局中継や将棋倶楽部24を用いた対局アプリである。
 具体的には、PCでの利用は無料にして普及活動の一環と割り切る。
 ファンの信頼を保つためには無料のままが良い事がある。
 その代わりに、携帯端末での利用は有料にして実費分を埋め合わせようという事である。

 今後も活字媒体は落ち込みも予想される。新聞社もそれに対して対策を講じることになると思うが、ファンの期待や信頼を裏切らないためにも棋戦がなくなることは避けたい。
 危機にさらされた時に将棋連盟がいかに真摯に対応できるかが大切である。
新人研修(三)

 5月21日に行われた第3回の新人研修。新人がまとめたものを掲載します。
 私の一時間の話の他に、レポートや感想文を書くことも教育の一環です。

第三回 新人研修
日本経済の現状と将棋界について

 新人研修では毎回、各テーマについて「米長の視点」から、会長が話をされます。第三回の新人研修の内容について、ごく一部ではありますが、新入社員がご報告します。
第三回の新人研修は、まず日本経済の話から始まりました。日本経済は今「100年に1度の大不況」のなかにあると言われていますが、会長は「100年に1度の大不況というが、昭和20年に比べればマシだ。つまり、今の日本は一生に1度ぐらいの不況だ。」と言及されました。
 昭和20年といえば第二次世界大戦が終戦した年です。戦後間もない日本を知っている会長だからこその言葉です。話はバブル景気、崩壊へとつながります。会長は日本人の二つの錯覚について述べられました。
・ 人々は、日本が世界一強い国だと錯覚し、戦い、敗戦した。
・ 経済復興後はアメリカを抜き、日本が世界一の経済国だと錯覚しバブルの崩壊が起きた。
会長はこの状況に「トーマス・カーライル」という人物の言葉を挙げました。
「人は逆境に耐えることはできる。しかし、順境によく耐え得る人はいるのだろうか」(意訳)
 一見、自分にとって良い状況であっても、流されるままではいけないのでしょう。どのような状況であっても先を見据えて現状を捉え、行動しなければならない。このようなことを会長の話から私なりに感じ取りました。
 話は現在の経済不況のなかでの将棋連盟の対応へ。一般企業がそろって人件費削減を行うなか、会長は新入社員を4人も採用したのです。日本将棋連盟の規模からすると大量採用です。これは「逆境こそチャンス」という会長の考えによるものだとか。私は先ほどの「カーライル」の言葉をふと思い出しました。「逆境に耐えることはできる」とあったが、会長は耐えるのではなく、積極的に攻めて常により良い連盟のあり方を模索しているのです。教育の世界へと足を踏み入れた「将棋塾」もその一環なのでしょう。
 最後に、「将棋という目に見えない文化、財産に誇りと自身を持つ」という会長の言葉を胸に、私ども新入社員は、広く皆様に親しんでもらえるよう、将棋の普及活動を行ってまいります。

新人研修(二)

 将棋連盟の新人研修の2回目は5月6日です。1時間の予定でしたが1時間40分になってしまいました。
 新人5名に職員を加えます。30代の職員が交代で1名が加わる方式です。その中の1名に話の内容をまとめてもらったのが以下です。

棋士はどのように成長するか、人はどのように成長するか。

「連盟で10年20年働きました。でも、何も成長しませんでした。」ということではいけない。これから話すことを成長へのヒントとして心がけて欲しい。

T.独創性を持つ
これまでに多くの奨励会員を見てきたが、奨励会員には「伸びる奨励会員」と「伸びない奨励会員」の2種類がいて、これらの違いは一目である。伸びない奨励会員によく見られる傾向として、一に真面目過ぎる、二に長考が過ぎる、三に定跡に頼り過ぎる、四に先人の棋譜に傾倒し過ぎるといったことがよくある。

これらは必ずしも悪いことではないが、度を過ぎれば唯の偏屈で、オリジナリティやクリエーティビティといった独創性に欠けると言わざるを得ない。

もちろん長考したからと言って独創的な手が思いつくわけでもない。ほとんどの手は直感的に見えるもので、考慮時間の多くはその確認に使われるものである。独創的な手は、真面目一辺倒の思考や、先人の棋譜・定跡をまねて生まれるものではない。一瞬のひらめきなのだ。

つまり、伸びる奨励会員というのは、一瞬のひらめきへの直感的な感性が優れているのであり、独創的なのである。独創性を持つことが、選択肢や可能性の幅を広げるのだ。

U.向上心を維持する
ある棋士は、対局に2~3時間もかけて将棋会館へ通勤する。一見、移動時間がもったいなく思えるが、彼らにしてみれば電車に揺られる時間さえも将棋のことを考えるには充分な環境だということだ。彼らはそれを不利とは微塵も思っていない。

どんな時でも将棋のことを頭の片隅に置き、将棋のために何か活かせないかを常に考える。この向上心を持ち続ける姿勢は見習うべきである。その姿勢はいつの日か何かしらの素晴らしいアイデアとなるだろう。

もし、そのアイデアが上司らの考えと異なるものだったとしても、あとは上司がこれをどう見るかの問題である。その判断で上司の資質も見えてくるというものである。そして、判断に迷った場合は、「運の良し悪し」が決め手となってくるのである。

V.運が良いかどうか
「運の良し悪し」も軽視してはならない要素である。運が良い人は仕事も私生活も大抵うまくいっている。運が悪ければ、うまくいくものもうまくいかなくなる。だからこそ「運の良し悪し」は重要なのである。

W.迅速に行動する
そして、情報を察知したら迅速に行動を起こすことも忘れてはならない。状況は日々、さまざまに変化する。今日正しいと思っていたことも、明日には変わっていることもある。そんな状況でもまずは行動を起こすのである。

たとえ不利な状況だったとしても人と人との間柄のこと。何かしらの行動によって誠意を伝えることができれば、その行為は必ず良い結果をもたらすだろう。

新人研修(一) 10.5.1記

 サラリーマンの世界では新人社員の大半は一年間で勝負がつくとか。上司によって決まってしまうのだそうです。
 日本将棋連盟は新人4人プラス1、5名を会長の私が月2回くらいのペースで研修することにしました。約1時間です。第一回は4月21日。「君は何故採用されたか」

 165名の応募がありました。そこから絞込み、最終面接官の中には会長もいて採用を決定しました。
 何を重くみたか。私が重点を置いたのは「運が良いか」の一点です。
 人間は自分自身の運を損なう者がいます。若さや老いとは関係なく運氣はあるんですね。大体は、妬み、嫉み、恨み、憎しみ、僻みなどを持ち合わせていると不運になります。運の悪い男は共通していてモテません。もっとも女運も悪いのですから当然ですけどね。そこで自分でも相手にしてくれる女性が好きになる。もっともそうでないと世の中はうまく回らないのかも。
 このような心の中が顔に出てきます。面接のやりとりはそれを確かめるだけのものであります。

 次に大切なのは、自分が幸せであると同時に他人をも幸せにすることです。もうひとつは運の悪い人とはつき合わないこと。運の悪い人は、なんでも人のせいにします。他人の悪口を言います。謙虚さがありません。人を攻撃して自分は正しいと思っている。こういう人とはつき合わないか、ケンカをするのが良い。
 つき合わない、かわす、避ける。仕事上などでどうしても関わらなければならない時もある。仕方がないでしょうね。
 ケンカする。これは相当な実力と見極めが必要です。初心者というか運氣のなんたるかを知らない人には勧められません。
 私も運の悪い人達に攻められることが多くあります。時には無視し、時にはお相手をする。人生が面白くなります。

 次に笑いと謙虚さです。以上が揃っていればこそ日本将棋連盟の将来は明るいです。
 入社の時の氣持ちを忘れるでないぞ。

 約40分話してあとは質疑。厚みある人生、貸し方の人生も説いておきました。

「開運!なんでも鑑定団」は「回想録」にまとめました。

「新人研修」は「まじめな私」にまとめました。

モデル地域

 8月1日の日曜日は千葉県へ。第3回フルルガーデン八千代杯将棋大会に出席しました。千葉県連合会の人たち全員で手分けして頑張っています。
 駒桜からも女流を派遣。理事として私が出席したのです。会場提供、そして賞品までもフルルガーデン社が出して下さった。有難いことです。
 大勢の子ども将棋ファンが集まりました。最も大切なことは付き添いのお母さん方への配慮にあります。お母さんが将棋を好きなら一番良いのですが、そういう人はごく僅かです。我が子可愛さで来られているんですね。

 そこで米長会長はお母さん対象のミニ講演をしました。「子どもの幸せは親で決まる」。本当にその通りなのです。ですから私は自分の子ども達の将来が心配ですのじゃ。

 大会も今回で3年目。FLN(フューチャーリンクネットワーク)社の協力が不可欠です。石井丈晴社長も朝のご挨拶をして下さいました。又、JコムのYY八千代が力を入れて下さっている。地域の情報紙FNLとケーブルテレビ局、そして会場提供のフルル社、それに普及熱心なアマチュア指導者。この大会を「地域モデル」として全国に情報を発信したいです。
 将棋世界では田名後編集長自らが取材に来ていました。